材料
- 甘夏 ・・・大3個(1200g、正味1000g)
- 砂糖 ・・・500g(甘夏正味の50~60%)
- 水 ・・・ひたひたの量
作り方
- (皮と果肉を分ける)甘夏は丁寧に洗い、縦に4等分にし、皮をむき、皮と果肉にわけます。
- (果肉をとる)薄皮から果肉を取り出し果肉のみボウルに入れます。(果汁も逃さずボウルに)白い筋は入れないようにし、種はお茶パックに入れておきます。
- (皮を刻む)皮のヘタは切り落とし、白い筋や毛羽立ったり、ボソボソした白い部分は取り除きます。(取りにくい部分は包丁で薄く削ぐ)皮はできるだけ細く切り、切ったものから水を張ったボウルにつけていきます。
- (皮を水にさらす)軽くもみ洗いし、最後はきれいな水に替え、途中2~3回ほど水をかえながら6時間程度水にさらし(調理時間外)苦味をほどよく抜きます。最後もう一度もみ洗い後、流水で洗い、ザルにあげ水けを切ります。果肉・果汁の入ったボウルに皮と水2カップを入れ30分以上(調理時間外)つけておきます。
- (皮を柔らかく煮る)鍋にボウルの中身すべてと水をひたひたに加え、強めの火にかけます。(木べらで時々底からかき混ぜながら)煮立てば中火(から弱めの中火)にし、皮を柔らかく煮ます。(圧力鍋の場合3分加圧し、自然に圧が下がるまで待つ)
- (砂糖を加えて煮つめる)皮が柔らかくなったかチェックします。(皮が爪でスッと切れる柔らかさになるまで)柔らかくなれば、鍋を火にかけ砂糖を途中で3回に分けて加え時々木べらで底からかき混ぜながら中火で煮ます。適度なとろみがつけば火を消します。
- (保存)煮沸消毒した瓶に詰めて保存します。作りたてよりも翌日の方がとろみが強まり、味がなじみます。
キッチンメモ
昔ながらの日本の柑橘「甘夏」
甘酸っぱい甘夏は、春を感じる柑橘のひとつです。
さっぱりしたさわやかさがいいですね。
他の柑橘に比べ酸味もあるので、酸っぱい甘夏に当たった時は、マーマレードにするのが幸せ。
酸っぱくていまいちだと思ったら大間違い。
「王道のクラッシックマーマレード」になるんです。
350mlの空き瓶に3本弱できました。
酸味がきついときは、レモン汁なしでOK。
甘い果肉の時は、レモン汁を加えて作ります。
種のまわりにもとろみをつける成分があるので、種をお茶パックに入れて一緒に煮ています。
この種は洗わずに使います。
まぁ、この作業は省いても、十分とろみはつくと思うのですが念のため。
甘夏のマーマレードってどんな味?
皮の存在感を感じます。
しかもこの皮がおいしいんですよ。
ほんの少しのほろ苦さもあります。
食感もいい。
まさに王道感のあるマーマレードです。
甘夏のほかに夏みかん、八朔でも同じように作れます。
甘夏マーマレードのレシピ動画
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甘夏マーマレードの作り方を写真で説明
甘夏は四つ割りにし、皮と果肉にわけます。
白い筋(ヒモのような部分)やワタが毛羽立った部分、厚い部分は包丁で削ぎます。
ワタ全体を削ぐというわけではなく、ワタはなるべく残します。
皮は細切りにし、切ったものからボウルの水につけていきます。
鍋に種、袋、果汁、水を入れたところ。
柔らかくなるまで煮ます。
この段階では砂糖を入れずに煮ます。
圧力鍋の場合は加圧します。
皮を煮た後、取り出して柔らかくなったかチェック。
爪でスッと切れるくらいの柔らかさに。
砂糖を加えて煮つめていきます。
始めはサラサラしてますが、徐々にとろみがついてきます。
上の画像の段階ではまだ液がチャパチャパしています。
瓶の煮沸消毒に時間がかかるので、煮込み始めたら煮沸消毒もスタート。
熱い瓶に熱いジャムを詰めるように時間を調節します。
瓶に詰める、保存方法はマジカルキッチンTipsコーナーにて
マジカルキッチンお菓子作りのTips、今回はジャム作りについて。作り方、材料選び。煮沸消毒した瓶に熱いジャムを詰めて保存する方法まで紹介します。
焦げ付かないように時々木べらで混ぜます。
だんだんととろみがついてきました。
あともう少し。
木べらが少し重くなったくらいで火を止めます。
甘夏について
甘夏の味はさっぱりとして、甘酸っぱく、酸味はきつめ。
落ち着いたさわやかな香り。
皮はみかんや伊予柑に比べ少し厚め。
皮は苦め、果肉にも少し苦みが含まれます。
果肉はざっくりとした固めのタイプです。
甘夏や八朔、夏みかんは昔からある日本人になじみ深い柑橘です。
春先から出回り初夏のころまで店頭に並びます。
甘夏の旬は、3月から5月頃です。
収穫は冬ですが、収穫してすぐは酸味が強いので、追熟させ酸味を減らした春になって出荷されます。
手に取った時、重さを感じるもの
皮につや、張りがあり、ヘタが緑色のものを選びます。
甘夏は、昭和10年頃に大分県の川野さんの果樹園で、突然変異によって生まれました。
夏みかん(夏橙)として植えられた木から発見されたので、川野夏橙とも呼ばれています。
最近出てきた新しい品種の柑橘に比べると甘夏って、やっぱり酸味が強めなんですよね。
甘いけど酸っぱい。
特に庭木の甘夏は酸っぱいことが多い。
昔は酸っぱい甘夏や八朔は、白いお砂糖をまぶして容器に詰めて、冷蔵庫に入れてましたねぇ。
昔ながらの柑橘ですが、近年では収穫量が減少し続けています。
甘夏の皮は固く、みかんより厚いので、そのまま手で皮をむくのは大変です。
包丁で皮の上部少し落とし、四つ割りにして皮をむきます。
果実が入っている袋(じょうのう膜・薄皮)も厚めです。
甘夏のマーマレードって作りやすい?
皮を刻む作業は大変です。
薄皮(内袋)から、果肉を取り出す作業もあります。
(他の柑橘の場合、薄皮ごと煮るものもあります)
ただ、甘夏はサイズが大きいんですよね。
3個の甘夏で約1キロ
数が少ないので、作業は意外と楽に感じました。
皮が厚く苦みがあるため、薄い柑橘よりも長く皮を水にさらす時間を長めにします。
その分時間はかかります。
とろみは、まあまあつきやすい。
圧力なべを使うと、皮を柔らかく煮る作業も楽です。
ジャム作りにつきもののビンの煮沸消毒はやっぱり大変。
フリーザーバッグで冷凍保存するとビンの消毒はしなくてすむので、少し楽になります。
上の画像のマーマレードは甘夏ではありません。
以前作ったもので、解凍後はケーキを焼きました。
甘夏マーマレード材料の割合
甘夏マーマレードの砂糖の割合は50%が目安
他の甘い柑橘、たとえば金柑マーマレードの場合
砂糖の割合の目安40%で作っています。
ジャム作りでの砂糖は単に甘みをつける以外にも大きな役割があります。
ジャムにとろみをつけ、ジャムの保存性を高める役割です。
砂糖には抱え込んだ水分をなかなか放さない性質があります。
微生物が細胞の水分を奪われて活動できなくなるため、ジャムの保存性は向上します。
長期保存したい場合は、砂糖を減らさないほうが保存性はよくなります。
加える水について
皮を煮るときに水をひたひたに加えて煮ます。
この時加える水分が多すぎると煮詰める際に時間がかかります。
マーマレード作り3つのコツ
今回の甘夏マーマレードの作り方は、基本はいつもと同じです。
白いワタは取らずに残すけれど。
白い筋(ひげ・ヒモ)部分は、丁寧に取り除きます。
基本、皮はゆでこぼさず、水にさらして苦みをとります。
今回は伊予柑等に比べると皮も厚めで苦いので、長めに6時間水にさらしました。
この時、苦みは完全に抜かず、少し残すのがコツ。
マーマレード作り基本の3つのコツ
- 苦みは抜くが、抜きすぎない
- 皮は前もって柔らかく煮ておく
- 火を止めるタイミングをみきわめる
火を止めるタイミングって難しいですよね。
早いととろみが足りず、煮すぎるとカチカチになります。
今回の場合は、皮のみを砂糖なしで軟らかくなるまで煮ます。
圧力なべを使うと、加熱時間が少なくてすみます。
初めて作るとき迷いやすい点は写真で説明のところにも補足しています。
マーマレードと苦みについて
マーマレードの苦み
もちろん苦すぎると、苦くて食べられなくなります。
でも、ゼロにすると、味気ないというか物足りないものでもあります。
マーマレードの苦み、ほろ苦さは、マーマレードの風味に奥深さを加えてくれます。
イギリスの伝統的なマーマレードもほろ苦いものが多いです。
イギリスでは、シビルオレンジ(スペイン産の苦いオレンジ)を使って作られたマーマレードが一般的です。
苦みの抜き方・見極め方
皮の下処理について
今回の甘夏の場合、皮を水にさらして苦味を抜きます。
水を数回かえて6時間つけています。
皮を包丁で切ったはしから、ボウルの水につけていきます。
手でもみ洗いします。
もみ洗いは水を替えるたびにやらなくても、1,2度
この時、水につけすぎて、苦みを抜きすぎても、マーマレードらしさがなくなるし。
苦みが抜けなくても苦いマーマレードになるので、見極めが大事になります。
どうやって確認するか?
ずばり、皮をかじってみるとわかります。
これは甘夏に限らず他の柑橘でも同じです。
たくさん食べると大変なので、1片を少しかじってみてください。
今回の場合は、3回確認しました。
1回目、水にさらした直後の皮をかじるとすごく苦い。
2回目、2時間後、口にしてみると、さっきよりよさそう。
と思ったら、後味でやっぱり苦い。
3回目、数回水を替えて6時間つけたものを確認。
苦みなし!!あ、最後に少しほろ苦い。
いい感じになったので、水につけて苦みを抜く作業は終了
もしまだ苦ければ、水を替えもみ洗いして、新しい水を入れてもう少し水につけます。
苦味をもっと取り除きたい場合は、水にさらす時間をより長めにする。
もみ洗いする回数を増やす。
または湯でこぼすことでも苦みが抜けます。
王道マーマレードとは
クラッシックな味わいで、ちょっと懐かしい味わいのマーマレードになるのかもしれません。
柑橘の色がよく出ていて、透明感もあり。
すくってみれば、とろりとして。
みずみずしいジューシーさ。
香りよく、甘酸っぱく、最後にほのかにほろ苦く。
それがマジカルキッチンの考える、王道マーマレード
- 果皮の存在感があり、果皮の風味と食感がいい
- 甘みと酸味のバランスがいいこと
- 適度なとろみがついていること
- 柑橘の香りがいいこと
- 特有のほろ苦さが感じられること
- 色よく、透明感のある見た目
容器・消毒・保存などマジカルキッチン、ジャム保存食について役立ちTips
ジャムや保存食作りで、迷ったり悩むのが容器の選び方、瓶の消毒、保存方法。
特に初めて作るときは、悩みが多いですよね。
具体的な方法や役立ち情報を記事にまとめています。
マジカルキッチンお菓子、料理のTips今回は保存食や常備菜、ジャム、シロップ等を保存する注意点。煮沸消毒、アルコールでの殺菌について
気をつける点、実際に使って分かった点など取り上げます。
マジカルキッチンお菓子作りのTips、今回はジャム作りについて。作り方、材料選び。煮沸消毒した瓶に熱いジャムを詰めて保存する方法まで紹介します。
食べきれないジャム、マーマレード、料理にお菓子に大活用。料理は隠し味に、焼き菓子、デザートに。
甘夏マーマレードを煮る際の注意点
はじめにまず、皮を柔らかく煮ます。
皮、(あれば種)、果汁、水を鍋に入れて砂糖を入れずに煮ます。
砂糖を早くから入れて煮ると、皮が柔らかくなりにくいのです。
柔らかく煮えれば、次は砂糖を加えて煮ます。
砂糖を加える時は3回に分けて加えます。
1回目入れたら、しばらく煮て2回目を加え、もう少し煮てから3回目。
間隔をあけて加えます。
砂糖を分けて加える理由。
一度に入れるより分けて入れた方が、皮が硬くなりにくいためです。
煮詰め具合の調節もやりやすくなります。
一度にたくさんの砂糖を加えると、ジャムが焦げたり固まりすぎたりするリスクが高まりますが、分けて加えるとその心配が減ります。
ジャムの濃度や粘度を確認しながら作ることができるので、自分好みの仕上がりにすることが可能です。
ジャムの煮あがり、火を止めるタイミングが分かりにくい場合
ゆずマーマレードが煮上がったかどうかの見極め。
汁がチャパチャパした状態から、とろっとしてきます。
それが、とろんとろんとなります。
色が黄色から少しオレンジがかった色になる頃です。
冷えるとさらに固まるので、ドロッとするくらいに詰めると煮詰めすぎになります。
この段階で完成品のジャムの濃度にしていまうと、冷えた時に固くなります。
煮詰めすぎた場合は水を加えます。
煮詰め具合が、分かりずらい場合は、コップテストや(冷えた)お皿にたらして固まり具合を確認します。
コップテスト
コップに冷水を注ぎ、ジャムをスプーンでほんの少したらして、落ちる様子を観察する
上の方でパッと散ればまだ煮たりない。
上の方で散らずにコップの底まで落ちればOK
小皿で確認
冷蔵庫で冷やした小皿に少量のジャムをつけます。
冷蔵庫へ少し入れて冷やします。
取り出し小皿を斜めに傾け、状態を確認します。
ジャム状のトロミがついていればOK
皿やジャムを冷やすことで、冷えた時のジャムの固まり具合がわかります。
圧力鍋でマーマレード作り
圧力鍋や電気圧力鍋でマーマレード作り。
最近はもっぱら鍋より圧力鍋で煮ています。
今は電気圧力鍋を使ってます
電気圧力鍋は万能調理鍋とも呼ばれるように
一台で煮こみ、スロークッカー、発酵、蒸し等便利に使えます。
炊飯に活躍、後よく作るのが、汁物、おでん、角煮、ジャムです。
手羽元もほろりと煮ることができます。
ジャム作りに便利に使ってますが、注意点もいくつかあります。
圧力鍋でジャムを作ると時短になる?メリットは?
煮る時間が長くかかるジャム作り。
圧力鍋を使うと時間が短くてすむイメージがありますよね。
たしかに加圧している時間は短いんです。
でも、加圧する際に、圧が上がる前、圧が下がるまで待つ時間はかかります。
そして、その後の砂糖を加えて煮詰める作業は、加圧なしで加熱します。
つまり普通の鍋と同じです。
加圧時間は、数分です。
トータルすると少し時短になるのかな。
光熱費の節約にはなってます。
長く煮ることなく、果物を柔らかくできるのも圧力鍋のメリット。
柑橘の皮を柔らかくするのも得意です。
さらに、電気圧力鍋の場合、ボタンを押せば加圧作業を勝手にやってくれるので楽できます。
最近はインスタントポットを使っています。
圧力鍋で煮つめる作業は加圧なしで
甘夏マーマレードをインスタントポットで作る場合
高圧3分→ナチュラルリリース。(自然に圧が下がるまで待つ)
圧が下がればフタをあけ、皮が柔らかくなったかチェック。
2分では少し硬めだったので、もう1分再加圧しました。
(柚子は2分で軟らかくなった)
*電気圧力鍋によって、圧力の違いで調理時間に差があることがあります。
皮が柔らかくなった後は砂糖を加えて煮詰めます。
この作業は加圧なしで煮ます。
フタをせず、時々混ぜながら煮ます。
焦げつかないように、鍋底から混ぜます。
側面もくっつきやすいので注意。
電気圧力鍋の場合も機種によって名前は違いますが、煮込みコースがあります。
例えば、アイリスオーヤマ製の電気圧力鍋なら「鍋モード」
インスタントポットの場合は「炒め物」を選択
すると内釜が熱せられて、炒め物の他に煮込みにも使います。
炒め物の中モード。
(様子をみて、3回目の砂糖を加えたら低にしても)
圧力鍋の説明書によくある注意書き
ジャムを作る際、鍋に多くの分量(水・食材合わせて)入れて加圧しないこと
圧力鍋の深さに対して、上の方まで材料を入れると、調理の際に泡立ったり、跳ね上がった時に、部品が詰まることがあり危険なためです。
特に砂糖を多く加えるて煮ると粘度が上がり、危険度が増します
加圧せずに煮る場合は、通常の鍋と同じ扱いになります。
カレーを作る際もカレールウを入れての加圧は禁止されています。
カレーのルウを入れると汁にトロミがつくからです。
まずは野菜、水等を加圧してスープを作り
圧が下がれば、ルーを入れて圧力なしでルウを煮溶かしてとろみをつけます。
マジカルキッチン圧力鍋でジャムレシピまとめ
作りやすく上品な味わいの柚子マーマレード
圧力鍋で煮る方法も書いてます。
金柑を使った圧力鍋で作るマーマレードジャムです。
とろりと柔らかに仕上がります。
金柑について、ジャム作りの基本、保存法、マーマレードの使い道等も紹介。
りんごのさわやかさと優しさと可愛らしさをビンに詰めて。
翻訳するとスイートサマー!?
今回の甘夏マーマレードレシピ動画には、字幕をつけました。
日本語字幕のほかに実験的に英語の字幕も。
自動の機械翻訳を活用したので、ところどころ直す必要があります。
(とはいえ、自分の英語力ではなかなかですが)
それにしても、今どきの機械の翻訳のレベルは、以前よりぐっと自然になってますね。
手直ししたとき、面白かったのが、甘夏が「スイートサマー」と翻訳されていたこと。
はじめ見たとき、なにかポエムをつけ足したのかと思いました。
たしかに直訳すると「甘い夏」
なかなか詩的な表現で歌詞みたいです。
ちなみに、柑橘の白いワタは英語で “the white pith of citrus”
または“albedo”というそうです。
手作りジャムの喜び
作っている時から台所に良い香りがすること。
その時にしか味わえない旬の季節の果物を瓶に詰めて。
透明感のある煮上がり、口にすればふわりとフルーツの香り。
ああ、格別の贅沢。
作ったかいがあったなぁとしみじみ思います。
保存してあった瓶をあけたときも、作った時と変わらぬみずみずしさが蘇って、またまた感激してしまうのです。